三重・愛知を中心に、企業と学校をつなぎながら高校生のキャリア選択を支える「株式会社ゆめスタ」。「教育とは?」「高校生の選択肢とは?」そんな疑問から始まった教育を変えるための挑戦に取り組んでいます。
今回は、創業者である飯田思遠氏に、現場に寄り添うコーディネーターの役割、そして事業に込めた想いを伺いました。
飯田思遠さん(代表取締役)
三重県鈴鹿市出身。中学時代に教育制度に疑問を抱き、探求学習に力を入れる高校へ進学するも、理想と現実のギャップを経験。その経験から、夢の実現において最も大切なのは「どの環境に出会えるか」というのを実感し、 「教育を変える」をミッションに株式会社ゆめスタを設立。
また、自身がハンドボール全国大会に4度出場した経験を活かし、キャリア教育コーディネーターとして公立高校での講師を務める。教育現場と若者支援の両面で活動中。
中学2年で芽生えた「教育を変えたい」想いが原動力に
創業のきっかけを教えてください。
最大のきっかけは、中学2年生のときに感じた「教育への疑問」です。
授業で学んだことを社会に出てから使う場面は多くないのに、なぜ学ぶのか。
数学で学ぶサイン・コサインや古典文学などなどはその典型で、一方で社会に出るとコミュニケーション能力や主体性が求められます。
つまり、学校で学ぶことと社会で求められることにギャップがある状態。
この状態から脱却するためには、先生の意識や姿勢だけでなく、文部科学省の仕組みを変えていく必要があります。
高校時代に受けた探求の授業も、テレビ番組を見て感想を書く程度で「これが探究なのか?」と強い違和感がありました。
こうした実体験が積み重なり「教育を変えたい」という想いが明確になっていきました。
大学ではキャリア支援や今の事業に近い活動に関わりましたが、目指す姿を実現するには法人として動く必要があると感じ、会社を設立しました。
事業内容について教えてください。
当社は、高卒採用支援をメインに事業を展開しています。
企業と学校の間に立ち、高校生のキャリア選択を支える「コーディネーター」として、三者の連携を促進するサポートを行っています。
主要サービスは「ゆめマガ」「採用専用ホームページ制作」「アニリク」です。
なかでも「ゆめマガ」は「教育を変える」ための中心的な取り組みです。
高校生が企業にインタビュー・取材を行い、自分の言葉で記事としてまとめることで、主体的に進路やキャリアを考えるきっかけをつくっています。
この取り組みが教育カリキュラムとして広がれば、生徒にも先生にも良い影響をもたらし、教育そのものをアップデートする一歩になると考えています。
事業を始めてからどんな変化や影響を感じていますか。
企業、先生、高校生という3つのステークホルダーへの変化や影響を感じています。
まず、企業からは高校生の求人に関して「ありがたい」「学校との連携が深まった」といった声をいただいています。
高校生向けの求人票は白黒印刷で文字のみのA4サイズ1枚。
学校によっては、 年間2000~3000枚ほど届くので、埋もれてしまい、高校生から見つけてもらえない企業も多いんです。
高校生は何を基準に選べばいいかわからない状態なので、私たちが情報をプラスした形で会社を紹介しています。
次に、先生については、ゆめマガが探究学習などの授業づくりのヒントになっているという声が聞かれます。
先生の高齢化も進んでいるので「刺激になった」「教育をアップデートしていかないといけないね」と言われることも多いです。
そして、高校生からは「起業したいです。社長になりたいです」と言われたことがありました。
その生徒は、工業高校に在学しており、もともと就職一本で考えていたんです。
夢やビジョンを持つタイプでなかった子が、授業を通してそう思えるようになった。
たとえ起業しなくても「モチベーションを持てるかどうか」で就職後の姿勢は大きく変わると思うので、これは大きな変化だと感じています。

現場に寄り添うことで見える、高卒就職のリアルと課題
ゆめマガを拝見すると、多くの企業や高校に飯田さんが自ら足を運んで取材しているのが印象的でした。
直接顔を合わせることはとても重要です。
私は相手を「顧客」ではなく、すべて「パートナー」だと捉えています。
教育を変える、あるいは「自分の意思で未来を選び続けられる社会をつくる」というブレない軸があるなかで、その想いに賛同してくれる人を探している感覚ですね。
だから、学校や企業に「営業に行く」というより「理解者を探しに行く」というスタンスで動いています。
オンライン化・ウェブ化が進んでいる時代だからこそ、対面や紙媒体の価値が上がっていると感じています。
実際、対面で動くことで反響が大きいと感じる場面も多いです。
最初の頃は、こちらから先手で動いて、訪問していました。
需要のある工業高校などに絞って関係をつくっていくうちに、他の学校からも「うちでもやってほしい」と声がかかるようになり、問い合わせは徐々に増えています。
訪問先を選んで動いていた頃から比べると、今は広がりが出てきたという感覚です。
高校生からすると、ゆめマガやアニリクは視覚的に理解しやすいのも利点では。
そうですね、未来について深く考えている高校生はそこまで多くありません。
だからこそ大切なのは「チラッと見るだけで伝わる」ということ。
また、IT教育に慣れている先生は多くないのでいまだに紙文化が根づいている学校も多いんです。
そのような現場にもフィットする形で届けられるのが、視覚的なコンテンツの強みでもあります。
現在、会社設立から約半年経ちましたが、これからどのように成長していきたいか教えてください。
数年後には「業界・地域のトップランナー」としてのポジションを確立したいです。
そのためには「地域に根ざした方法」で成長していきたいと思っています。
まずは今取り組んでいる三重と愛知に深く根を張り、地元からの信頼を築くことを優先していきます。長期的なビジョンとしては、本部は東海エリアに置きつつ、徐々に全国展開をしていきたいです。
その地域で活動している団体やコーディネーター団体とタッグを組んで、同じ想いを持つパートナーを増やしていくイメージですね。
こうした動きが全国に広がれば、教育そのものを変えられて、最終的には政治も変わるんじゃないか。そんなことを考えています。
事業については「ゆめマガの認知拡大」に重点を置きつつ、高卒就職の文化そのものを変えることも手がけていきたいです。
一人一社制のなかでも、企業の特徴をもっと伝えられるようにしたり、企業見学の機会を増やしたり。近年少しずつ変化は見られるものの、まだまだ課題も多いので、そういった取り組みを進めながら地域に根ざしていきたいと思っています。
高卒就職の課題や問題点とは具体的に何でしょうか。
一番の課題は「一人一社制が50年以上変わっていない」ことです。
大学生は複数の会社を受けて、内定を比較して決めることができますが、高校生は一社しか受けられません。
そのため内定辞退もほぼゼロで、企業側は安定して人材を確保できます。
しかし、生徒側からすると「本当に選べているのか?」と疑問を感じるシステムです。
地域によっては、見学できる企業も一社だけというケースもあります。
しかも、その一社を見学したら先生から「じゃあ、その会社にしなさい」と言われること
これではミスマッチが起こるのは当然で、実際に高卒就職では3年以内に約4割が離職すると言われています。
だからこそ、私は高校生にもっと選べる選択肢を増やしたい。
この制度の枠組みと文化、どちらも変えていく必要があると思っています。

コーディネーターが未来の教育をつくっていく
御社の成長のために必要なことは何でしょうか。
人材採用と育成です。
単に採用人数を増やすのではなく、私たちと同じ想いを持つ人を増やしたいと考えています。
企業と学校をつなぐ役割である「コーディネーター」を育てていくことが、事業の成長に直結します。向いているのは、想いと誠実さを持った方です。
スキルや学歴は全く関係ありません。
ただし、学校と企業の両方の立場を理解できることが重要です。
学校営業だけでは学校の文化しかわからず、企業営業のみでは企業の困りごとしか見えない。
どちらか一方に偏ると、子どもたちの未来に寄り添えません。
だからこそ、両側面を理解しながら動ける人材を育てていきたいと考えています。
学校と企業の課題を意識しながら、橋渡しができる方が理想ということですね。では、入社された方には何を期待しますか。
地域の特性を理解し、その地域に寄り添って動けることを期待しています。
今後の地域展開を見据えると、三重に一人、愛知に一人、静岡や岐阜にも…という形で、各県にコーディネーターを配置したいと考えています。
まずは私が見本となり「このように接すると良いですよ」というスタイルを伝えながら育成していきます。その流れが定着すれば、他の地域にも広げていけるはずです。
最後に、求職者の方にメッセージをお願いします。
これまでITが来て、AIが来て、次に大きく変わるのは「教育」だと考えています。
オンラインツールがどれだけ進んでも、人としてどうあるべきかという「核」は教育にあります。
そして、その教育に予算がついていくとすれば、中心にいるのはコーディネーターです。
企業の採用担当者も、学校の先生も、限られたリソースのなかで対応していて、どちらも疲弊しています。
だからこそ、両者をつなぐ役割としてコーディネーターが必要なんです。
教育に関わることは、時代を先読みした正しい選択だと思いますし、何より社会貢献性が非常に高く、やりがいの大きい仕事です。
私たちは、企業からいただいたお金を若者に還元する仕組みで動いています。
地域のイベントや若者の活動の支援などを通じて、感謝される場面が本当に多いです。
地元を盛り上げたい、母校に恩返ししたい、そんな想いを持っている方には、まさにぴったりの環境です。一緒に未来の教育をつくっていけたらうれしく思います。
お客様プロフィール
■企業名
株式会社ゆめスタ
■所在地
愛知県春日井市如意申町7丁目15−5 アーバンハイツ春日井 302号
■事業内容
高卒採用支援
■公式サイト
https://yumesuta.com/
