人手不足、サービスの質、働く人の成長など、福祉業界が抱える課題は複雑で、簡単に解決できるものではない。
そんななかで「ニュースタンダードに向けて挑戦し続ける組織でありたい」と語るのは株式会社ナーシングプラスの代表取締役・鈴木由紀子氏。
今回は、鈴木氏に創業のきっかけや組織・業界を成長させるために大切にしている想いなどを伺った。
鈴木由紀子さん(代表取締役)
愛知県名古屋市の大学病院で7年間看護師として勤務
在職中に通信大学へ編入し、心理学学士を取得
頭痛専門の整体院の開業を経て、2020年5月に株式会社ナーシングを設立
その後、株式会社ナーシングプラスを分社化
看護師としての最期の場面での経験が創業の原点に

貴社の事業展開を教えていただけますか?
障害福祉、教育に関する事業を展開しています。
具体的には、放課後等デイサービス、児童発達支援、生活介護、就労継続支援B型の施設を運営しています。
また、通信制高校の学習支援を行うサポート校事業も始めました。
メインは放課後等デイサービス事業で、売上の65%ほどを占めています。
拠点は、愛知県名古屋市と豊明市に合計3か所で、1拠点に事業を複合させる形で成り立っています。
1事業所あたりの利用者は10名前後です。
放課後等デイサービスを利用していた児童が成人を迎えたら生活介護施設や就労継続支援B型の作業所を利用できるというように長きにわたり、お子様・ご家族のサポートをすることが可能な仕組みです。
また、特に医療的ケアが必要な重症心身障害児を対象とした専門的な放課後等デイサービスも運営しています。
創業に至ったきっかけや想いを聞かせてください。
看護師として勤務していた頃から施設をつくりたいと思っていたのが直接的なきっかけです。
看取りの場面に接するなかで「患者さんの最期はこれでいいのか」という自問自答が始まりました。
病院によっては人材不足などの問題もあり理想ばかりは並べられませんが、それでも病院で人生を終える方々に寄り添った、看取りのステップを準備したいと強く願うようになったのです。
人は祝福のなかで生まれ、それぞれに嬉しかったこと、悔しかったこと、悲しかったことなど人生のストーリーがあります。
その最後の集大成である最終章がこれでいいのか、と罪悪感に近い想いを抱くようになったのも創業を考えた大きなきっかけです。
将来的には、ホスピスを運営するのを目標としています。
これらの分野について調べていったり、人とふれ合ったりするうちに「医療・介護・福祉・保育・教育業界全体でもっとできることがあるのでは」と強く感じるようになり、この会社を立ち上げました。
業界に対する危機感が生んだ、事業の社会的意義とは

社会性が高い事業分野ですが、貴社の存在意義はどうお考えですか。
医療・介護・福祉・保育・教育分野は、主に税金によって支えられている事業です。
そのため、国民の生活を維持するにはなくてはならない社会インフラとしての役割を担っていると考えています。
弊社にとってのステークホルダーは、日本に住むすべての人だという想いを持って事業を運営しています。
一方で、需要と供給のバランスが崩れにくく、適切な競争原理が働きにくい業界でもあります。
本来、資本主義のメリットとして、顧客は質の高いサービスを適正価格で享受できることが挙げられますが、この業界ではその仕組みが十分に作用していません。
それが社会インフラであるがゆえの課題でもあるとも感じています。
実際に、消費者が選択する自由を持っていたとしても、選択肢が限られてしまうケースもあります。
例えば、送迎の負担を考えると、施設の環境に納得いかなくてもそのデイサービスを利用せざるを得ないという事例です。
これは、人手不足に拍車がかかる一方でニーズだけが増えていく場合に起こり得ます。
この業界に対しての危機感が事業に向き合い続ける理由です。
そのため、業界全体の質の向上を目指す姿勢は、これまでもこれからも変わりません。
弊社は他社と磨き合ったり、保護者の方から学ばせていただいたりすることを積み重ねながら、少しずつ成長し、現在6期目を迎えています。
貴社が大切にしていること、掲げているミッションは何でしょうか。
弊社のミッションは「希望の光であり続ける」ことです。
地域や業界、ステークホルダー、そして日本にとって「ナーシングプラスがあってよかった」と思っていただける存在でありたいという想いを込めています。
福祉業界で発生しがちなのが、顧客の方が自分の要求をストレートに伝えることが難しい立場になるという問題です。
利用者本人が伝えるのが難しい場合もあれば、保護者の方がお子様に不利益になるからと伝えられない場合もあります。
そのような問題が起こらないために大切にしていることは、丁寧なコミュニケーションと先回りアセスメントです。
まずは相手の話を聞く姿勢から始めて、理解することが大切だと思っています。
その上で、物事の全体像を見て提案することで、弊社だからこその安心感を与えられるようにしています。
お子様だけでなく、その家族の伴走者になるのが目標です。
やりがいを感じるのはどんなときでしょうか。
利用者の成長を間近で見られることが励みになり、保護者の方から「ナーシングプラスに来たことによってできることが増えた、笑顔が増えた」といった声掛けをいただくと喜びを感じられます。
他の施設では心を開けなかった利用者がナーシングプラスでは笑顔で過ごしていて、それによってご家族も笑顔になる様子を見ると、やっていて良かったと思えます。
貴社の事業はお子様が成人を迎えてもサポートできる環境が整っていることが持ち味と言えますね。
そうですね、特に最近感じているのは高校に在籍する3年間の過ごし方が多様化していることに着目していて、サポート校といわれる高等学院の運営も手掛けています。
実際に、コロナ禍で不登校になった学生が非常に多いんです。
成人を迎えるまでのこの大切な時期を学習面のみでなく、生活面もサポートできる仕組みです。
授業や人間関係の不安感はもちろん、障害を持っている学生も含めて卒業してその後の進路をどうするのか、生きる力をどう身につけていくかということに全力で向き合います。
思春期という難しい年代なので、保護者以外の相談相手がいると学生も安心して生活を送れるようです。
福祉・教育の双方の観点から社会的に力になれていると感じています。
6つの「バリューズ」が人を動かし、組織力を高める理由

社員の方が長く働き続けられるための施策や工夫を教えてください。
各拠点で「バリューズ」ベースで行動することを徹底しています。
バリューズとは、弊社で大切にする6つの価値基準のことです。
年齢や経歴が異なる以上、個人の価値観が完全に一致することはありません。
だからこそ、個人の価値観ではなく、バリューズに基づいて判断・行動することで、対応にブレが生じない体制を整えています。
その結果、有給消化率は9割以上、残業は月平均4時間ほどです。
バリューズが明確に定められていることで、子育てや通院などの理由でも休みが取りやすい環境が整っています。
誰かが休んでもチームで支え合う文化が根づいているため、自分が休むときも安心して休めます。
「休みにくい」と感じない職場風土が醸成されていると言えます。
この文化のおかげで子育て世代をはじめ、さまざまな背景を抱える方や休職経験がある方も弊社で長く活躍しています。
仕事と生活のバランスに合わせて就労時間や日数を調整して、徐々に慣れていくことも可能です。
支え合いながらチームとして機能する風土が定着しています。
先ほどお話に出たバリューズについてと、それが活かされている場面を教えていただけますか。
弊社のバリューズは「信頼と敬意」「真摯さ」「向上心」「感謝」「リーダーシップ」「一致団結」の6つです。
私自身が抱く大切な価値観とナーシングの理念体現のため必要な価値観の両方を考えながら、覚えやすく、理解しやすいものへと統合していきました。
理解できない価値観は行動に落とし込めないため、シンプルで実践しやすいことを重視しています。
バリューズによってお互いが働きやすい環境をつくれていると感じますし、資格を自ら取得する社員が多い環境なので、これはまさに向上心があってこそ。
自らチャレンジする姿勢が見られたり、他社で昇級昇格に興味なかった社員が、働くうちに上を目指すようになったりするケースもあります。
そのような挑戦する仲間を応援する文化があるのも自慢できる一面です。
6つのバリューズは弊社の性格を表していると言っても過言ではありません。
これに納得や理解ができない人は、入社したら苦しくなって、離れていくと思います。
では、逆にどんな方が貴社で活躍していますか。
もちろん、バリューズを体現できる方は弊社で活躍しています。
性格で言えば、利他的で素直な方です。
そのような方は誇りを持って進もうという信念を持っているので、一人ひとりに与えられた役割をしっかりと果たしてくれます。
その結果、自分も含めた組織・会社・顧客・地域・業界の「すべてにとってのオールウィン」をつくっていけると企業側が確信できるんです。
リーダーシップをとって、組織をまとめてくれるので、バリューズを体現していると自他ともに認める存在です。
今後どのように会社を成長させていきたいですか。
業界の価値・質の向上という理想の未来に向けて成長させていきたいです。
規模としてはまずは200~300人規模の会社にしていきたいですね。
弊社は医療・介護・福祉業界の「ニュースタンダード」になるという目標を掲げていますが、そこに向かって一緒に挑戦してくれる人が必要になります。
それぞれの適材適所で求められる役割は異なりますが「利用者やその家族の今と未来が笑顔であってほしい」という共通認識を持って前進していってほしいです。
放課後デイサービスをはじめ、手段として弊社が求められている役割に対して、結果を出さなくてはならないので、それを当たり前として働ける方が集まればニュースタンダードは自然とつくっていけると思っています。
それでは、最後に求職者の方へメッセージをお願いします。
ニュースタンダードを目指すなかでも「この業界の当たり前は実は違うと思う」「もっとこうしたらいいかもしれない」「こんな世界をつくれたら、みんな幸せになれるよね」という率直な意見を声を上げてくれる役割も大切です。
そうやって理想を形にしながら、未来を一緒に作ってくれる仲間を歓迎します。
興味を持ったら、一度見学して想いを聞かせていただきたいです。
企業が成長していく過程をともに歩み、業界の質の底上げに向けて挑戦していきましょう。
お客様プロフィール
■企業名
株式会社ナーシングプラス
■所在地
愛知県名古屋市緑区有松三丁山584番地2階
■事業内容
・放課後等デイサービス・児童発達支援施設の運営
・生活介護施設の運営
・就労継続支援B型施設の運営
・サポート校の運営
■公式サイト
https://nursing.co.jp/
